BRAND HISTORY
HERMES(エルメス)と聞いて、革製品やシルクの得も言われぬ美しさを思い浮かべる人も多いことでしょう。
ティエリー・エルメスによって1837年に創設されたHERMESは、元々は現在のようなファッションブランドではなく高級馬具の製造ブランドでした。
馬車の普及によって大きく事業を拡大し、当初は鞍を製造していましたが、自動車文化の発展と馬車文明の衰退をいち早く察した三代目社長のエミール・モーリス・エルメスの思案により、鞍を入れるためのバッグが登場しました。それが1892年に誕生した、「オータクロア」です。「オータクロア」は、やがて旅行バッグとしても使用されるようになり、人気を博すようになります。
当時は働く女性が増加しつつある時代であったこともあり、エミールは続けて婦人用バッグの製造を展開。そのアイディアは大きな成功を収め、エルメスのバッグは大ヒットアイテムとなっていきました。
1935年に登場した「ケリー」は、エルメスの初代バッグ「オータクロア」を原型として作られたバッグです。「ケリー」は、モナコのグレース・ケリー王妃にちなんで呼ばれるようになりました。ケリー王妃がカメラを向けられた際、妊娠中のお腹を咄嗟に隠したバッグであったことが由来です。
1984年には、言わずと知れたHERMESのバッグ「バーキン」が登場します。こちらも名前の由来は、世界的に有名な女優のジェーン・バーキンです。整理整頓が苦手だった彼女は、いつもバスケットに大量の物を詰め込んでいました。
そんな彼女の様子に目をつけたのが、当時のエルメスのデュマ社長。しかしその出会いは偶然であり、デュマ社長と彼女が、たまたま飛行機でとなりの席になったということから。となりの席の彼女のバスケットに見かねたデュマ社長が、「そのバスケットの中身をすべて入れられるバッグを作りましょう」と提案したことから、今尚愛され続けるエルメスの「バーキン」が生まれたのです。
HERMESの大ヒットバッグ展開は、「バーキン」の登場後もコンスタントに続いていきます。1923年には、エルメスのバッグ史上において、初めてファスナーが採用された「ボリード」が登場しました。 1967年には、羽のように軽いことから、「羽」という意味を持った名前の「プリュム」が登場し、1969年にはエルメスの「H」のイニシャルを留め具に採用した「コンスタンス」のような人気タイプも発表されています。